技術情報
真空射出成形機とは

真空射出成形機は、射出成形を実施する際に不良(エア不良)の要因となる、金型内の空気を抜くための機構です。 それまでエア不良を低減するには、金型での工夫を必要としていましたが、射出成形機側での対策を実現しております。
ABOUT
真空射出技術とは
射出成形とエア不良
射出成形機は、射出成形を実施する際、射出装置を通して材料を金型内に注入します。その際どの射出成形でも「金型内の空気と材料を置き換える」ということが行われることになります。その為、「精巧な部品を作成したい」、「射出後の不要部分(バリやランナー)」を少なくしようとした場合、そこに元々ある空気を綺麗に押し出し、金型内部で空気と材料を綺麗に置き換える必要があります。空気が残ってしまった場合、材料と置き換わらない部分が欠けて成形される、空気が燃焼してしまい焼けが発生する等、成形品自体が不良品となってしまいます。これら空気が原因となって起こる不良品がエア不良と呼ばれるものとなります。
従来のエア不良対策
従来の射出成形では、これらエア不良を防ぐ方法として、金型での工夫が求められていました。「金型をシールする構造にする」、「ガスベント(ガスを逃がす道)を作っておく」等、多くの手法がありますが、いずれも金型毎に工夫を凝らす必要があり、コストもそれぞれの金型にかかっていました。
真空射出成形機によるエア不良対策
真空射出成形機は、金型から従来のエア不良対策を不要とする射出成形機です。金型全体を真空にすることが可能な構造にすることで、エア不良対策の有無にかかわらず、射出成形時の金型内部の空気を抜き、エア不良の大幅な低減を実現しています。

Advantages
真空射出成形機のメリット
不良率の低減
真空射出成形機によるエア不良低減は、そのまま不良率の低減に繋がっていきます。実績の一例としては、月産約2.5万個、不良率約5%であった射出成形品に真空射出成形機を導入した結果、不良率を0%にダウンすることに成功しております。
生産能力の向上
真空射出成形機によるエア不良低減は、そのまま不良率の低減に繋がっていきます。従来の構造では射出速度に比例して空気の巻込みの発生率が上がってしまい、エア不良の発生率が上がっていましたが、真空射出成形機では、金型から空気を抜き取る方式の為、射出速度にエア不良率が比例せず、射出速度の向上が可能です。また、射出速度上昇によるせん断発熱量の増加、金型周りの空気が無い事により熱エネルギーが逃げづらくなることで、加硫時間の短縮も可能となっております。
省エネ、省コスト化
真空射出成形機を利用することで、金型への加工が必要なくなりコストの削減が実現できます。また、金型側で必要以上に空気を追い出すための道を作成する必要がなくなる結果、成形物に付着する不要部分(バリ)が低減、充填に必要な材料も少なくて済むため、材料の削減も可能となっております。
